こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

リボルバー・リリー

銃口を向けられた拳銃の引き金を指で止め、ナイフを振り回す男は煙管で一蹴する。背の高い叢では気配を消して敵の後ろに立ち、銃弾は巧みによける。ふた昔前の荒唐無稽なヒーロー映画を見ているようなスタイリッシュな設定は痛快だ。物語は、元女スパイが命を狙われている少年を救おうと奮闘する姿を描く。陸軍兵が制服私服入り混じって少年を追ってくる。偶然乗り合わせた列車で少年と遭遇した女は、東京までの100キロ近い道のりを支援なしで乗り切らなければならない。さらに海軍や政府組織までが少年の身柄を押さえようとする。山を歩き川を下り汗や泥にまみれているはずなのに、ヒロインは身だしなみを崩さない。しなやかでスピーディな綾瀬はるかの身のこなしがクールで、予算をふんだんに使ったB級映画を見ている気分になった。

父を殺された慎太はかつて凄腕の暗殺者だった百合を頼って逃げる。列車に乗った慎太は追手に見つかるが、事件調査の帰路だった百合に保護され、行動を共にする。

慎太は父が蓄えた莫大な闇資金の詳細を握っている。行きがかり上慎太を守る決意をした百合は、次々と襲い掛かる陸軍の工作員を撃退しながら、仲間のいる花街に戻る。その際、30人ほどの陸軍正規部隊と交戦するのだが、小銃で武装した小隊に対し武器は拳銃と仲間の狙撃銃のみ。それでも百合は圧倒的な火力差をものともせず華麗なダンスを舞うように銃を撃ち負傷者の山を築いていく。銃弾飛び交う修羅場の中によちよち歩きの赤ちゃんが乱入してくるシーンは何らかのオマージュだったのか?

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後、海軍が慎太を預かることに同意、百合と慎太は海軍省を目指すが、道中、中隊規模の陸軍兵が待ち構えている。土砂降りの中傘もささず歩く百合と慎太、道路は水浸しになり大量の雨水が下水に流れ込む。百合たちはマンホールで爆発を起こして、混乱に乗じて封鎖線を突破しようとするが、地上に出た瞬間、さっきまで大雨だったのに服も道路も乾いている。この遊び心、21世紀に受け入れられるだろうか。。。

監督     行定勲
出演     綾瀬はるか/長谷川博己/羽村仁成/シシド・カフカ/古川琴音/清水尋也/ジェシー/佐藤二朗/吹越満/内田朝陽/板尾創路/橋爪功/石橋蓮司/阿部サダヲ/野村萬斎/豊川悦司/鈴木亮平
ナンバー     148
オススメ度     ★★


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