こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ミンナのウタ

私の歌をみんなに聞いてもらいたい。そう強く願う少女は、念をカセットテープに吹き込んだ。だがその歌は再生されることなく時代はデジタルになり、倉庫の片隅に埋もれる。そして30年後、忘れられた歌は呪いとなってよみがえる。物語は、テープから流れる鼻歌のようなメロディを聞いたダンス&ボーカルグループのメンバーが次々と行方不明になり、探偵とマネージャーと残されたメンバーが真実を探っていく過程を描く。消えたメンバーのそばには制服少女の霊が佇んでいた。テープの送り主の住所を探偵は知っていた。何が起きたのか、誰を恨んでいるのか。遠い過去を紐解いていくうちに明らかになった衝撃の事実は、さらなる深い闇に彼らを導いていく。同じ言葉をリピートする妊婦の無害な表情がかえって恐怖を掻き立てる。

GENERATIONSマネージャーの凛は失踪した小森を探すために探偵の権田を雇う。与えられた時間は3日、権田は放送局でADが持っていたカセットテープに目をつける。

そのテープを逆再生すると何かを伝えようとする言葉が聞こえるが、正確に何を言っているのかわからない。差出人の高谷さなという名前を見て権田はさなが中学時代の同級生だと気づき、凛と共に母校を訪ね当時の事情を聞き出そうとする。一方の白浜らメンバー3人はさなの家があった近隣を嗅ぎまわる。さなの家は放置されたまま朽ち果てそうになっているが、霊感を持つ中務がドアを開ける。家に残った悪霊が中務を襲うシーンは思わず息をのみ背筋を凍らせるほどのインパクトだった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

権田たちもメンバーも一度ホテルに戻るが、次々とさなと彼女の母や弟らしき子供に襲われ姿を消していく。一度耳にしてしまったら決して逃れられない。デジタル音源のように簡単には拡散しない。だからこそアナログ的な価値観が生んだ怨念が凝縮され、そこから醸し出される邪悪な気配は科学の進歩では解明できない根源的な畏怖となって感情に訴えてくる。数原龍友は出演を拒んだのか、最初からの「いない扱い」がかえって怖かった。

監督     清水崇
出演     白濱亜嵐/片寄涼太/小森隼/佐野玲於/関口メンディー/中務裕太/早見あかり/マキタスポーツ
ナンバー     149
オススメ度     ★★*


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DATE     23/8/13