こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

復讐の記憶

父は財産を奪われなぶり殺しにされた。兄は出稼ぎ先で酷使されて事故死した。姉は尊厳を汚され自死した。なのに、彼らを死に追いやった奴らはいつの間にか社会的地位を得てのうのうと生きている。物語は、植民地時代の朝鮮で、日帝及びその手先となった朝鮮人に家族を奪われた男の長い時を経た復讐を描く。自身は80歳を超える高齢者、ターゲットはさらに高齢で残された時間はわずかしかない。妻の死で失うものがなくなった男は若者を助手に雇い60年以上温めてきた暗殺計画を実行に移す。体力は衰え記憶が時々飛んでも、男は鋼鉄の意思で己に課したミッションを果たそうとする。文在寅一派のような捏造史観勢力の妄言妄動ばかりが日本では報道されるが、日帝時代の功罪を客観的に評価している韓国人もきちんといることに安堵した。

古い拳銃を取り出したピルジュは孫ほども年の離れたインギュを相棒にして大病院に乗り込む。特別室に入院中の老人を射殺するが、防犯カメラに映ったインギュが容疑者にされてしまう。

その後も親日学者や自衛隊の元幹部など、綿密にリサーチした彼らの行動スケジュールに基づいてピルジュは順に手を下していく。決して洗練された手口ではない。それでも、ターゲットに護衛はなく、後手に回る警察を尻目にピルジュは銃弾をぶち込んでいく。ターゲットとなった老人たちがいまだに引退せず社会に居座っている韓国、その恐るべき老害は日本より深刻といわれる少子高齢化社会の実態をリアルに再現していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

被害者の共通点に気づいた警察や、ターゲットのひとりが放った暗殺部隊の追跡をかわしながら、ピルジュは計画の仕上げに向かう。その過程で明らかになる、日本人になることを選んだ朝鮮人たちの存在。慰安婦・徴用工は “騙された” という側面は一部あっても決して強制などしておらず、志願した者がほとんどだったというスタンスだ。そして彼らこそが朝鮮戦争で共産軍から韓国を守った英雄でもある。だが決して消えないとピルジュの恨みは、人間の業の深さを象徴していた。

監督     イ・イルヒョン
出演     イ・ソンミン/ナム・ジュヒョク/パク・グニョン/チョン・マンシク/ユン・ジェムン/ソン・ヨンチャン
ナンバー     125
オススメ度     ★★★*


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