こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

Gメン

落書きだらけの校舎。荒れ果てた教室。そこに集められた生徒たちは、見かけはツッパリヤンキーながら、喧嘩でのし上がろうとか彼女を作ろうとかいった向上心のないクズばかり。物語は、最底辺クラスに転校してきた男子高校生が仲間と共に強大な組織と闘い、学校と周辺女子高に平和を取り戻す過程を描く。この高校に在籍すればモテるはずだった。楽しい学園生活が待っているはずだった。なのに待ち受けていたのは徹底したヒエラルキー構造と偏見。最下層にいるというだけで落ちこぼれというレッテルを張られ、同級生や他校女子からはまともに相手にされない。そんな環境でも己の可能性を信じて前向きにふるまう主人公の笑顔がまぶしい。軟弱な外見とは裏腹に腕っ節は強く信義に篤い少年を岸優太がコミカルに熱演していた。

1年G組に転校してきた勝太は個性的な面々を早々にまとめるが他クラスの不良とトラブルになる。その後、イケメン優等生の瀬名と仲良くなったことから一大勢力を作り上げる。

学校には伝説の武闘派グループ・Gメンがあり、幹部の2人は正義感あふれる勝太の性格に目をつけ後継者候補にしようと近づく。その間、女担任・雨宮に付きまとうストーカーを撃退したり他校の女暴走族と交流したりと多忙を極める勝太。美人で気が強い雨宮が酔っぱらったときに見せる素顔は、生徒たちとの距離感とジェンダー的観点からの不満に満ち溢れ、「女教師」という職業のストレスの多さを象徴していた。不良どもを恫喝する雨宮がストーカーの前では脅えを見せるギャップに萌えた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

かつてGメンが潰した組織のボスが復活、勝太がデートするようになったレイナが拉致されるなどトラブルが重なり、全面戦争に発展する。そこで繰り広げられる洗練された格闘バトルは、時に泥臭さも交えたいかにも東映風。彼らの間に発生する信頼や友情といった熱い感情も、義理と人情に言い換えたほうがぴったりとはまる。昭和キャラの不良・レディースが登場するが、Z世代にはそのレトロさが新鮮なのだろうか。

監督     瑠東東一郎
出演     岸優太/竜星涼/恒松祐里/矢本悠馬/森本慎太郎/りんたろー。/小野花梨/後藤剛範/高良健吾/大東駿介/吉岡里帆/尾上松也/田中圭
ナンバー     160
オススメ度     ★★★


↓公式サイト↓
https://g-men-movie.com/