こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

サンクスギビング

早い者勝ちの無料配布を狙った群衆がスーパーマーケットに押し寄せている。開店を待たずドアは破られ、警備員は踏み潰され、乱入した群衆は完全に頭に血が上ったまま欲望をあらわにする。物語は、連続猟奇殺人事件の犯人に追われる女子高生の奮闘を追う。お面を被った男がどこからともなく現れ、スーパーでの大惨事を引き起こした人々を血祭りにあげていく。あるものは胴体から真二つにされ、ある者は頭部を切断される。その手口は周到かつ無駄がない。相手の生活パターンを調べた上で犯行に及んでいる。ターゲットになっていると知ったヒロインは保安官と共に対策を練るが裏をかかれる。犯人は町の事情を熟知した人間に違いない。だれが、なぜこんなことをするのか。限界を越えた怒りと恨みは人を狂気に走らせるとこの作品は訴える。

感謝祭セールの暴動から1年、お面を被った男が暴動現場にいた女を惨殺、さらに警備員も血祭りにあげる。事件を知ったジェシカはスーパー経営者の父が隠し持つ防犯ビデオの映像を見る。

父を愛しているが継母とはうまくいっていないジェシカは、根は真面目で正義感も強い。殺人犯に狙われている不安と事件後姿を消していた元カレのボビーが町に戻ったことで、心のざわつきを抑えきれない。そして、学校にひとりでいるときに彼女もお面男に襲われる。危機一髪かわすが、職業訓練校ではなく普通の高校なのに、校内にプロ仕様のヘアサロンがあるのには驚いた。もう誰を信じていいのかわからない、どこに犯人が潜んでいるかも予想がつかない。その、神出鬼没を恐れるジェシカの不安がリアルに再現されていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

そしてパレードの最中に、父・継母と共に拉致されたジェシカたちに凄惨な制裁が待ち受ける。犯した罪の重さに応じた罰を与える。狂気の殺人者に見えたお面男は、実は冷静に計算している。快楽や本能で殺すのではない、きちんとつけを払わせただけ。知能指数の高い連続猟奇殺人者の行動理論はむしろ教訓だった。ジェシカが単なる尻軽女でがっかり。

監督     イーライ・ロス
出演     パトリック・デンプシー/アディソン・レイ/マイロ・マンハイム/ジェイレン・トーマス・ブルックス/ネル・ベルラーク/リック・ホフマン/ ジーナ・ガーション
ナンバー     2
オススメ度     ★★★


↓公式サイト↓
https://www.thanksgiving-movie.jp/