こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

携帯彼氏

otello2009-09-28

携帯彼氏


ポイント ★★
監督 船曳真珠
ナンバー 204
出演 川島海荷/朝倉あき/石黒英雄/小木茂光
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


プログラムなのか怨念なのか。ケータイにダウンロードした疑似恋愛ゲームが自らの意思を持つかのようにケータイの持ち主を脅し、苦しめ、襲いかかる。今にもディスプレイから飛び出してきそうなくらいリアルに再現された男たちのアバターがよくできていて、不気味な笑顔がその奥に潜む悪意をほのめかす。映画は、ふとしたきっかけから死のゲームに手を出した女子高生が味わう感覚を、ホラーの定石通りの細かいカット割りとおどろおどろしい音楽で彩り、恐怖を盛り上げる。


里美と由香は、「彼氏に殺される」と言い残して自殺した友人のケータイを調べる。すると、「携帯彼氏」というゲームの恋人役の画像が現れる。そのアバターを自分のケータイに転送した里美は、その「携帯彼氏」とメールのやり取りをするが、彼は徐々に横暴な態度を取り始める。


ケータイの持ち主がメールするとプログラムが自動的に応答する仕組みなのだが、その恋が成就するか破綻すると「携帯彼氏」が持ち主を殺してしまう。次々と死んでいく里美の周りの人間の共通点を探るうちに、里美は放火で焼死したレイプサークルのメンバーに行き当たる。このあたり、刑事が協力しているとはいえ、非常に安っぽい展開はいかにもケータイ小説が原作という感じで、物語のディテールより里美の感情が優先され、リアリティよりもご都合主義が蔓延する。まあ、大掛かりなCGを使ったりセットを組んだりする予算が許されない割には、きちんとした映像が取れているのが救いだが。


やがて由香のケータイの「携帯彼氏」が進化して暴走をはじめ、由香を襲う。一方の里美が新たに手に入れた「携帯彼氏」は不名誉な死を遂げた憧れの先輩・直人。里美は直人の無実を信じ、彼に導かれて無事、「携帯彼氏」を全滅させる。直人が生きている間は言えなかった「愛してる」という言葉をお互いにやっと口にするが、すぐに照れ隠しをするあたり、いまどきの高校生ぽくて初々しかった。


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