こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ジェクシー! スマホを変えただけなのに

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朝の目覚めから通勤経路、一日のスケジュール管理までスマホに頼っていた。最新型に変えると、“彼女” は片時も手放せない親密なパートナーになる。物語は、感情を持つかのようにプログラムされたAIスマホを契約した男が、徐々に人生を支配されていく恐怖を描く。質問の答えを瞬時に出してくれるだけでなく、持ち主が判断に困ったときには適切なアドバイスをくれる。嫌な上司には本音をぶつけ、部屋にこもっていないで友人を作れと励ます。そして、気になる女がいたら、勇気を奮ってアタックしろと背中を押す。だが、主人公がリア充になるほどAIの中に嫉妬が芽生えていく。スマホ依存が加速する現代社会、「2001年宇宙の旅」におけるディスカバリー号の悲劇が地球規模で起きるかもしれないとこの作品は警告する。

ネットニュース配信会社に勤務するフィルはジェクシーというAIが搭載されたスマホを購入する。ジェクシーは女の声で下品な言葉を発しつつ、内向的なフィルの生活全般を向上させようとする。

フィルはすぐにスマホを交換するが、クラウドにいるジェクシーは新たなスマホに乗り移りフィルに付きまとう。ところがジェクシーの言うとおりにすると、意外にも万事好転し、フィルは友人と昇進を一気に手に入れ、自転車店の美女・ケイトとも親しくなる。しかし、ケイトとのデートにスマホを携帯しなかったためにジェクシーが激怒、フィルに対してさまざまな妨害工作を始める。一瞬にして崩壊するフィルの日常、あらゆる電子機器を勝手に操作し彼を攻撃しようとするジェクシーの執念はIT社会の脆さと恐ろしさ象徴する。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ケイトまで奪われそうになったフィルは、アップデート中は活動を停止するジェクシーの弱点を利用して、元カレの猛アタックからケイトを取り戻そうとする。フィルが精一杯自分の気持ちを伝えようとするシーンは、人の思いこそが人を動かすと教えてくれる。“米国社会に懸命に貢献しようとするヒスパニック” 役が多かったマイケル・ペーニャがイヤミな上司を好演していた。

監督  ジョン・ルーカス/スコット・ムーア
出演  アダム・ディヴァイン/アレクサンドラ・シップ/ローズ・バーン/マイケル・ペーニャ/ローズ・バーン
ナンバー  133
オススメ度  ★★★


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