ダーケストアワー 消滅 THE DARKEST HOUR
監督 クリス・ゴラック
出演 エミール・ハーシュ/オリヴィア・サールビー/レイチェル・テイラー/マックス・ミンゲラ/ジョエル・キナマン
ナンバー 298
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
深海を浮遊する発光クラゲのような幻想的で優雅な美しさ、だがそれは触れた人間を一瞬で粉々にしてしまうエイリアンの恐るべきエネルギーシールド。世界中に降り注いだ発光体はまたたく間に地上を制圧し、かろうじて難を逃れた若者たちはサバイバルを余儀なくされる。赤の広場をはじめ大通りやモスクワ川にかかる橋など、普段喧騒に満ちたモスクワの街並みから人影が消え、乗り捨てられたクルマだけが無残な姿をさらしているシーンは、彼我の科学力の圧倒的な差を見せつけられたリアルな諦観が投影され、途方もない災厄を生きのびた人々の絶望と孤独を見事に象徴していた。
モスクワでの商談に失敗したショーンとベンはクラブに繰り出しナタリーとアンをナンパする。突然の停電の後、空からエイリアンの侵略を受け避難、数日後地上に戻ると、地下室にこもった彼らを残して人間は消滅していた。
生体電磁波を感知して攻撃してくるエイリアンに対する身の隠し方を見つけたショーンたちは他の生存者を探して町に出る。途中、エイリアンの弱点を知っているオッサンと少女や武装集団と出会い、更なるエイリアン対処法を蓄積していく。その過程で絶望がわずかな希望に変わり、逃げてばかりだったのが反撃に転じる。悲観しているくらいならば思いきって行動に移す勇気こそが、困難を切り開いていく原動力であるとショーンたちは教えてくれる。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
やがてひとりはぐれたナタリーを助けるために、ショーンはロシア人たちを説得、追ってきたエイリアンたちと対峙するが、シールドを破る術を持った人間たちはエイリアンを次々と仕留めていく。その造形はシールドの優美さとは対照的にいかにも凶悪そうなのだが、あまりオリジナリティが感じられなかったのが残念。あと、向う見ずな青年だったショーンが成長していくというパターン通俗的。物語の展開やアクション、ビジュアルにもう少し目新しいアイデアがほしかった。。。
オススメ度 ★★