こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

バトルヒート

otello2015-06-16

バトルヒート SKIN TRADE

監督 エカチャイ・ウアクロンタム
出演 ドルフ・ラングレン/トニー・ジャー/ロン・パールマン/マイケル・J・ホワイト/ピーター・ウェラー
ナンバー 129
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

田舎から家出してきた少女を言葉巧みにたぶらかして拘束し、売り飛ばす。輸送に使われるのは近世の奴隷運搬船と大差ない環境のコンテナ船。21世紀にもなっていまだ古典的な手口で行われる人身売買、それはいかにハイテク化・IT化が進んでも、扱う商品が人間である以上、画期的な効率化は望めないからだろう。物語は、東南アジアを供給源にして全世界にネットワークを張り巡らせる人身売買組織の壊滅を図る、米国とタイの捜査員の活躍を描く。そこで繰り広げられる、爆走バイクに向かって疾駆する追跡劇と、東洋西洋のあらゆる格闘技をミックスさせた打撃から関節技まで駆使したアクションは、これぞトニー・ジャーという切れ味。体格で勝る白人黒人相手に真っ向から挑み、跳ね返されてもなお攻撃の手を緩めない。圧倒的な身体能力から繰り出される拳や脚の変幻自在の動きに目が点になった。

国際ギャング・ドラゴビッチに妻子を殺されたニックは復讐するためタイに飛ぶ。だがタイの捜査員・トニーの同僚殺しの容疑をかけられ、トニーと戦う羽目になる。トニーもまたドラゴビッチの組織の全容を解明しようとしていた。

全力疾走すると息切れし、若いころのように体が言う事を聞かなくなった。そんな、盛りを過ぎたニックを還暦近いドルフ・ラングレンが老体に鞭打って演じる。一方のトニーはまだまだ血気盛、FBI捜査官・リードとの対決で真価を発揮する。洗練されたマーシャルアーツで仕掛けるリードに対し、臨機応変に対応し予想外の角度とタイミングで手刀やかかとを見舞うトニー。パワーとスピードの一騎打ちは、悲鳴をあげる肉体の痛みを感じさせるほどリアルな感覚にあふれていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、クライマックスの銃撃戦はやや大味な展開で、大量の銃弾と爆破が繰り返されるばかり。せっかくヘリコプターまで登場させたのだから、最後に“空中戦”のようなヤマ場を作ってほしかった。

オススメ度 ★★*

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