こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

エクストリーム・ジョブ

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強制捜査も追跡も容疑者確保も失敗続きのへっぽこ麻薬取締チーム。彼らが見張りに利用したのはフライドチキンのレストランだった。物語は、解散寸前のチームを立て直すために大物麻薬ディーラー逮捕を計画、昼夜張り込む彼らの奮闘を描く。刑事としての仕事ではヘマばかりやらかすのに、思わぬ形で商売の才能に目覚める5人。絶品のチキンを提供したおかげでまたたく間に店の前には大行列、いつしか本業の任務もそっちのけに押し掛ける客を捌くのにてんてこ舞いになる。もしかしたら刑事よりもチキン屋の方が向いているのではないか、チキンを揚げているほうが家族を幸せにできるのではないか。そんな、容疑者逃走の連絡を受けても接客に忙しい彼らの逡巡と葛藤がコミカルに再現されていた。

麻薬流通組織ボスの事務所対面にあるレストランを買い取ったコ班長以下5人のチームは、監視を続けるがなかなか成果が上がらない。一方、マ刑事の “秘伝のタレ” が客に好評、店は大繁盛する。

ボスは尻尾をつかませず捜査は硬直状態なのに、店の経営でコたちは手いっぱいになる。上司に呼び出されても組織の事務所から入る注文を優先させるなど、もはや警察組織の中では厄介者扱い。ところが、麻薬販路拡大を狙った組織の幹部がフランチャイズ化の話を持ってくるなど予期せぬところからチャンスが転がり込む。その間、後輩チームの祝杯に参加したり、妻の小言に肩身の狭い思いをしたりと、コ班長がプライドをズタズタにされながらも社会にしがみついている姿が、笑いを誘う以上にうだつの上がらない中年男の悲哀を感じさせる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

だが新規店舗の評判は散々、原因を調べようと町中を歩き回るコたちにやっと刑事らしい動きが戻る。そして突き止めた真実。ゆる~い設定ながらも先の読めない展開に刮目し、部下たちが隠していた意外なポテンシャルを開花させるクライマックスに瞠目した。絶妙の味覚と包丁さばきだけでなく元柔道韓国代表というマ刑事を演じたチン・ソンギュのとぼけた味わいが印象に残る。

監督  イ・ビョンホン
出演  リュ・スンリョン/イ・ハニ/チン・ソンギュ/イ・ドンフィ/コンミョン/シン・ハギュン/オ・ジョンセ
ナンバー  3
オススメ度  ★★★*


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