こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒

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大きなお目目に真っ赤な唇、ツインテールをなびかせて颯爽と町を練り歩く。気に食わない奴はブチのめす。邪魔する奴は誰もいない。だって大悪党の彼女だから。物語は、恋人の権威を笠に着てやりたい放題やってきた女が、失恋して庇護を失い、命を狙われるうちに、自立した女に成長していく過程を描く。町中のゴロツキどもに恨みを買っていた。ひとりで相手にするには限界がある。そこで彼女は自分と同じような孤独な女たちと共同戦線を張り、男たちが支配する闇の世界で大暴れする。かわいい女子からセクシーな色気まで目まぐるしく変わる表情と、卓越した身体能力から繰り出される変幻自在の格闘技、気ままだけれども頭の回転は恐ろしく速い。そんなヒロインを演じるマーゴット・ロビーが圧倒的な存在感を見せる。

ジョーカーに未練を残すハーレイは化学工場を破壊して思いを吹っ切る。ある日莫大な財産の隠し場所がしるされたダイヤがカサンドラという少女に盗まれ、町の新ボスに取り返してこいとハーレイは命令される。

スリの現行犯で逮捕されたカサンドラは留置場にいる。警察署に正面から殴り込みをかけたハーレイは至近距離からショットガンを放つだけでなく、型にはまらない体術で並み居る警官たちを蹴散らしていく。そのビジュアルにこだわった映像は、これまでゴッサムシティを舞台にしてきたダークヒーローものとは一線を画し、ポップでキッチュな感覚を前面に押し出す。彼女自身ももちろん暗い過去を持っているのだが、それをおくびにも出さず苦悩や葛藤なども抱えていない風を装っている。そのあたりのキャラクター設定がすっきりしていて痛快だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

カサンドラを守ることで新ボスに追われる羽目になったハーレイは、はぐれ刑事や殺し屋、元歌手と手を組み、女5人で新ボスの組織を迎え撃つ。ただ、そこに至るまでいちいち登場人物の来歴を巻き戻すなど構成としてはわかりづらい。ジョーカーの恋人だったハーレイが、彼からどんな影響を受けたのかも知りたかった。

監督  キャシー・ヤン
出演  ユアン・マクレガー/マーゴット・ロビー/ジャーニー・スモルレット/エラ・ジェイ・バスコ/ロージー・ペレス/クリス・メッシーナ/メアリー・エリザベス・ウィンステッド
ナンバー  59
オススメ度  ★★*


↓公式サイト↓
http://wwws.warnerbros.co.jp/harleyquinn-movie/