こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼

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街角の無料Wi-Fiに接続しただけで、スマホに保存されたデータは盗み見され、カメラを通して日常を監視される。そして弱みを握られた上に命まで狙われる。どこに潜んでいるかわからないネット社会の危険な罠。物語は、猟奇殺人事件を追うサイバー担当刑事が天才ハッカーを利用して犯人に迫る過程を追う。言葉の毒で巧みに人心を操り警察のみならず外部機関を思い通りに動かすハッカーは、捜査に協力すると見せかけて壮大な計画を着々と進めている。それを薄々感じながらも彼に頼らざるを得ない刑事は、葛藤を抱えつつ後戻りはできない。ただ、警察に関するあらゆる設定がゆるく、心理ゲームとしての緊張感も乏しい。「羊たちの沈黙」のITバージョンを目指したのだろうが、失笑するシーンの方が多かった。

山中で見つかった白骨死体の身許を探るうちに拘留中の浦野との関連に気づいた加賀谷は、浦野に面会する。浦野はMという容疑者の存在をほのめかし、警察署内にコンピュータールームを設けさせる。

同時に、顔から首に火傷のある男が加賀谷の恋人・美乃里をストーキング、彼女のプライバシーを丸裸にしている。浦野は更なる犯行に手を染めたMにトラップを仕掛けることを提案、加賀谷は火傷男がMであると確信する。その間、浦野は、厳重な警備の中でもさまざまな手法でセキュリティを破ってあらゆるネットワークに侵入、マルウェアを仕込んだりデータを改ざんしたりする。ところが、浦野や美乃里に張り付く刑事たちはとことん間抜けで簡単に手玉に取られるし、火傷男も送られてきたURLを何の疑いもなくクリックする。あまりにもご都合主義的な展開のオンパレードに開いた口が塞がらなかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

他にも、浦野の独房が南京錠で施錠されていたり、尖らした飴を顔に突き刺したり、美乃里がサービスエリアで暴行されたり。そもそも警察のデータベースにインターネットから侵入できるのか? 俳優たちの演技もわざとらしいし。なんかいろいろ突っ込みどころが満載で、逆の意味で楽しめたが。。。

監督  中田秀夫
出演  千葉雄大/白石麻衣/笹岡一/成田凌/井浦新
ナンバー  76
オススメ度  ★*


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