こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

21ブリッジ

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銃口を向けてくる者には躊躇なく発砲する刑事。大勢の制服警官を射殺したコカイン強盗。そして、刑事をバックアップしながらも犯人グループの口を封じようとする警官隊。現場に残されたのは大量の銃弾と死体の山。腑に落ちないことだらけ、何か裏があると感じた刑事は、強盗を生け捕りにしようと奔走する。物語は、コカイン強奪事件の担当となった刑事の奮闘を追う。犯行グループの身元はすぐに割れた。潜伏先も逃走経路もAIが予測済み。逮捕は時間の問題、だが奪ったコカイン以上に価値のあるものを手に入れたと確信した犯人は巧みに動き回り追っ手を翻弄する。己の正義を振り回す刑事、悪党とはいえ理性的な犯人、部下の復讐に燃える警察署長、腕利きの相棒etc. 癖のある登場人物が繰り広げる暴力に満ちたミステリーは最後まで疾走感を失わない。

深夜に呼び出されたアンドレは、マンハッタンに逃げ込んだ2人組を逃がさないようにすべての橋やトンネルを封鎖させる。タイムリミットは5時間、さっそく移動用のクルマの持ち主を見つける。

押し入った犯人たちが想定外の事態に出くわしたり、管轄の所長がやけに張り切っていたりと、前半は通常の犯罪映画とは何やら違うにおいを放つ。さらに、先回りしたFBIがクルマの持ち主を射殺、犯人の手がかりを消してしまう。映画は、アンドレの視点と犯人の視点を目まぐるしく交差させ、「逃げる犯人と追う刑事」のほかに、陰で事態を操っている第三者の存在をちらつかせる。このあたり非常にち密に計算された構成が、大勢の人間が簡単に死んでいく作品にしては想像力をかき立てる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

犯人の片割れは、実は粗暴な男ではなく誰も殺さないように細心の注意を払っている。それに気づいたアンドレは投降を促す。ところがそこでも相棒の横やりが入りアンドレの思惑は灰燼に帰す。そもそもアンドレがこの事件の担当に選ばれたのは、彼ならば問答無用で犯人を射殺すると上層部が判断したからなのか。結局裏目に出るが、やっぱりアンドレは人を殺しすぎないか。。。

監督  ブライアン・カー
出演  チャドウィック・ボーズマン/シエナ・ミラー/ステファン・ジェームズ/キース・デビッド/テイラー・キッチュ/J・K・シモンズ
ナンバー  62
オススメ度  ★★★


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