もっとかまってやるべきだった。男同士で腹を割って飲み明かしたかった。集中治療室に横たわる我が子を前に、父の脳裏に浮かぶのはかけがえのない思い出。物語は、エリート大学の学生寮で出会った若者たちの青春と友情と恋を描く。なぜか落ちこぼれが集まる寮を割り当てられた。部屋は狭く食事はまずく一刻も早く別の寮に移りたかった。ところが、いつの間にか深い絆で結ばれた仲間たちと過ごす時間が貴重だと思えるようになった。そして大学一の美女とのデート。主人公はそんな話を息子にするうちに、当時の悪友たちとの再会を望むようになる。1/100の合格率を勝ち抜かなければスタートラインにも立てないインドのエリート社会、難関大学受験の厳しさは日本の受験戦争の比ではないと初めて知った。
不合格を苦に自殺を図ったが一命をとりとめた息子に、アニは大学時代の寮生活のエピソードを語り始める。意識を取り戻した息子に続きを話すうち、アニは親友のセクサの行方を探し連絡を取る。
酔っぱらってもいないのに、水かけ合戦で盛り上がる学生たち。あり余るエネルギーをなんとか発散させたいと暴れまわる導入部がバカバカしく楽しい。アニが入寮したH4は学生寮対抗スポーツ大会で万年ビリの負け犬集団だが、文武両道の学生が集うH3に勝つために密かに作戦を練り実行に移す。その間、アニは個性的と言うより変人と呼んだ方がしっくりくるダメ人間たちと仲良くなる。彼らが巻き起こす騒動はいちいち大げさだが、受験勉強に集中してきた青年にありがちな非常識な部分をコミカルに盛って大いに笑わせてくれた。ネタとしては使い古されたものばかりながら、衒いもなく堂々とパクる開き直りはかえってすがすがしい。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
昔語りが佳境に入り、かつての6人組全員が病室に揃うと、アニはスポーツ大会の経緯を最後まで息子に聞かせようとする。ただ、“息子の危篤” は、6人が集合する動機としては弱い。全員の知り合いであるアニの妻・マヤの窮地にすれば説得力が増したのではないだろうか。
監督 ニテーシュ・ティワーリー
出演 スシャント・シン・ラージプート/シュラッダー・カプール/ヴァルン・シャルマ/サハルシュ・クマール・シュクラ/タヒル・ラジ・バーシン/ ナビン・ポリシェッティ/トゥシャール・パンディ
ナンバー 140
オススメ度 ★★*