こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

TENET  テネット

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人は後ろに歩き、クルマは猛スピードで後退し、弾丸は標的から銃口に戻っていく。動画を巻き戻すかのように逆行する時間の流れ、だが自分たちの時間は順行している。初めて体験する異次元の世界、いまやCGによって想像力さえあれば表現に不可能はなくなったが、こんな不条理までヴィジュアル化するとは。。。考えれば考えるほど混乱する、もはや直感に従って受け入れるのみ。物語は、第三次世界大戦を誘発させる装置を巡って、スパイと武器商人が虚々実々の駆け引きを繰り広げる姿を描く。物理学の進歩は一方通行だった時間軸を選択可能にした。「過去」は変えられる。「未来」も予知できる。ならば「現在」を認識しているこの主体はいったい何なのだろう。映画は主人公の稀有な冒険を通じ、科学はどこまで人間を幸福にするのか問いかける。

テロ制圧に失敗、身分を消してよみがえった「男」は、ある国際組織から核物質の奪還を命じられる。「男」はセイターという武器商人がキーパーソンと知って、彼の妻・キャットに近づく。

セイターに自由を奪われているキャットから情報を得た「男」は人類の運命を握る核物質を強奪するために壮大な計画を立てる。航空機を金庫が入った建物に激突させ厳重な警備を突破したり、移送中のトレーラーを高速道路上で四方から囲み屋根から侵入したり。大掛かりな仕掛け、危機また危機の手に汗握る見せ場の連続の中で、この作品のテーマでもある「逆行する時空」がシンクロし、複雑に絡み合った要素が奔流のごとくスクリーンからあふれ出す。合理的な解釈は不能、ただただ圧倒的な映像の洪水に心身を浸し、主人公と感覚を共有するのみだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

そして、いよいよセイターは人類滅亡の陰謀を実行に移す。それを阻止するために、「男」は援軍と共に過去と未来からセイターを挟撃する作戦をとる。銃撃と爆破、派手な戦闘の中で時間軸が交差するシーンは、もう慣れたはずなのにやっぱり強烈な違和感はぬぐい切れない。一度では楽しみ尽くせない、「2001年」を見た時以来の衝撃だった。

監督  クリストファー・ノーラン
出演  ジョン・デビィッド・ワシントン/ロバート・パティンソン/エリザベス・デビッキ/マイケル・ケイン/ケネス・ブラナー
ナンバー  157
オススメ度  ★★★★*


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