こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

“それ”がいる森

その山に入った大人は惨殺死体になって発見される。子供たちは行方不明のまま戻ってこない。森の少し開けた場所には小型宇宙船のようなカプセルが鎮座している。だが、別の日に行くと、カプセルがあった場所は地面が丸く焼け焦げている。人間を襲ったのは獣か魔物かエイリアンか。物語は、町はずれの山に広がる森の中で次々に起きる失踪事件に巻き込まれた父子の奮闘を描く。転校してきたばかりの息子はさっそくできた友人を見殺しにしてしまった。息子を守ろうとする父も正体不明の影に脅えながらも打開策を練る。小学生たちはクラスメートを捜しに行こうと無責任に騒ぐ。担任の女教師はビビッて足が動かず、教頭は頭ごなしに怒るだけ。だれにも相手にされなくてもお互い信じあっている父と息子の心情が切なかった。

福島で単身オレンジ栽培する淳一のもとに、東京から息子の一也が1人でやってくる。地元小学校に転入、サッカーで仲良くなった友人から、立ち入り禁止の裏山の秘密基地に招待される。

帰り道、2人は大きなカプセルを見つけるが、友人が得体のしれないものに捕獲される。淳一と警察・ボランティアが山狩りを始めると強盗の死体が見つかるが友人は見つからない。野生クマの仕業と決めつけ事態の収拾を図る町長や警察、教頭といった公務員たちの、有力な情報に背を向ける事なかれ主義が印象的だった。そもそも、一也を乗せたタクシーの運転手は小学生の1人客に何の疑問を抱かなかったのだろうか。そういった、物事を深刻に考えず面倒くさい現実を直視しようとしない大人たちが圧倒的多数派だったことのほうが恐ろしかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

姿を現した捕食者は古典的なグレイ型でかなり軽快な動きをする。縦に割れる大きな口を持っていて獲物を丸のみにする。分身の術のような繁殖法を取る。だがその表現法はグロテスクでもなくオリジナリティもなく、あまりにも安っぽくて失笑した。「マーズ・アタック」のように、酷評されても一部のファンが熱狂的に支持してくれればいいのだが。

監督     中田秀夫
出演     相葉雅紀/松本穂香/上原剣心/江口のりこ/尾形貴弘/宇野祥平/酒向芳/野間口徹/小日向文世
ナンバー     185
オススメ度     ★


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