小さな自動車整備工場で働く青年と、高級車を乗り回すお嬢様。身分が違うのは自覚している。ところが彼は彼女の真実を見抜き、必ず心を向けさせると誓って姿を消す。物語は、実業家として成功した男がかつての親友の助けを借りて壮大な計画を実行に移す過程を描く。上流の人間と対等になるために死に物狂いで働き、身分を変えてまでのし上がった彼は、さらなる目的のために裏社会で生きる親友にさまざまな頼みごとをする。だが親友は彼に一切の見返りを求めない。2人の間にあるのは友情以上の固い絆、それは過去とは切り離せない。何故若者はお嬢様にこだわるのか、強烈な上昇志向は誰のためなのか。親の愛を知らずに育った彼らの記憶は切なくも美しく、壊れてしまいそうなほど繊細な思い出の数々は感情に突き刺ささる。
事故車の修理にやってきたリサを食事に誘うが相手にされなかったマコト。彼の消息を探すキダはいつしか闇の交渉人となり、マコトと再会を果たす。マコトはリサに近づくためにキダを利用する。
汚れ仕事を一手に引き受け、マコトのビジネスと “恋” を両面から支援するキダ。根はやさしいのに仕事と割り切ると銃を撃つのも厭わない。一方のマコトはあらゆることに冷静になれるタイプ。時折挟まれる彼らの小学校時代からのエピソードと比較して、キダは自分の新たな可能性を発見しているのに対し、無邪気にいたずらを楽しんでいたマコトの表情が乏しくなっていることに気づく。あえて失うものを持たなかったキダと、失ってはいけないものを抱え込んだマコト。それぞれが、生きる世界とは正反対の性格になってしまっている設定がユニークだ。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
回想にヨッチという女の子が出てくるが、マコトたちが大人になってからはその存在は消されている。わかりやすい伏線もあり、マコトの真意は中盤で分かってしまう。だが、ヨッチの願いを叶えるために手の込んだわなを仕掛けるあたり、ただ復讐するだけでは足りない純粋な思いがそこにはある。彼らが望んだ、冬の花火は哀しかった。
監督 佐藤祐市
出演 岩田剛典/新田真剣佑/山田杏奈/中村アン/
ナンバー 17
オススメ度 ★★*
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