こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告

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あんなにかわいらしかった孫が、いつの間にか憎たらしいガキに成長している。既得権を奪われた悔しさはわかるけれど、少しは我慢することも教えなければならない。物語は、引っ越してきた祖父と、彼のせいで屋根裏に追いやられた少年の “いたずら戦争” を描く。戦争ではあるが守るべきルールもある。あくまでいたずらを仕掛けるのは当事者間同士に限り無関係な家族を巻き込まない。一方で祖父も少年も相談相手はいる。2人とも友人の助言に従って、老人は老人なりの、少年は少年なりの方法論でいたずら合戦を続けていく。手が込んでいるほど楽しく、頭を使っているほど面白い。通常の作戦は読まれている、相手の裏の裏をかくような手口は、お互いを傷つけあうような悪ふざけになる手前で抑制が効いていて心地よい。

妻を亡くした独居老人・エドは娘のサリー一家と暮らし始める。エドは、サリーの息子・ピーターの部屋を使い始めるがピーターは納得いかず、取り戻すためにエドに対して宣戦布告する。

先制攻撃を仕掛けたのはピーター。だが余裕で受け流し反撃するエドに、さらなるアイデアで勝負する。ベッドの中に蛇を入れるのは「ゴッドファザー」馬の生首のシーンを思い出してしまった。その後も一進一退、友人たちを巻き込んだトランポリンドッジボールで決着をつけようとする。前後だけでなく飛び跳ねることでさまざまなアクションが加えられ、日本の小学生がやっているゲームとは全く違う立体的な動きはスリリングかつコミカルだ。身軽な13歳とスローな老人たちがそれぞれの長所を利用して死力を尽くす姿は、オンラインゲームにはない躍動感に満ちていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

妹の誕生日パーティで休戦協定を結ぶ2人。ところが、双方相手が先に協定破りをするだろうと、全く信用していない。案の定始まった大騒動。そして、それをきっかけに家族の絆をかみしめるエドとピーター。確かに家族は他人の始まりではある。それでも一緒に暮らし信頼を高め合えば、分かちがたい愛が生まれるとこの作品は訴える。

監督  ティム・ヒル
出演  ロバート・デ・ニーロ/ユマ・サーマン/ロブ・リグル/オークスフェグリ
ナンバー  75
オススメ度  ★★*


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