こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

地獄の花園

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最初にケンカを売ってきた奴を瞬殺し、仕返しにきた奴らもあっさりぶちのめす。さらに強い奴が現れるが、そいつも倒すと、あとは組織内を統一するだけ。そんな、少年漫画雑誌における高校生ヤンキーの成長と友情を扱った世界観を、そのまま大手企業のOL界に持ち込んだアイデアが圧倒的にユニークだ。物語は、中途採用として入社してきたOLが、その会社の極道OLたちのトップに立ち様々なトラブルを解決していく過程を描く。いかにもスケバン風の女たちが暴走族風の衣装に身を包み、オフィスを闊歩する。一般社員とは明確に線引きされていて、素人には絶対に手を出さない。そして格闘シーンは香港やハリウッドの名作をパロディにした派手な作り。それらおなじみの設定が非常に細部まで作りこまれ楽しめる。ばかばかしさもここまで突き抜けると清々しい。

ヤンキー女子社員に絡まれている男子社員を助けた蘭は、出社早々絡まれるがあっさり撃退。その後次々と挑戦を退け、瞬く間に社内で抗争を繰り返してきた3大OL派閥をひとつにまとめる。

相手の攻撃を読み、余裕でかわす。長い手足から繰り出されるパンチとキックは的確に急所にヒットする。かわいい顔して圧倒的な強さを誇る蘭は、堅気のOLである直子と仲良くなる。ダイエットやスイーツ、コスメやエクササイズ、そしてオトコといった普通のOLの会話を楽しむ蘭と直子。その間も、カリスマ伝説が広まった蘭の元に、地元他社のヤンキーOLたちが抗争を仕掛けてくる。ライバルのインフレーション、その展開は20世紀のヤンキー漫画そのもので大いに腹を抱えた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後、直子が対立会社に拉致されたことから急展開。直子の知られざる素顔が明かされたり地上最強OLが殴り込んできたりと、ますます映像はパワーアップしていく。“ヤンキー” も “OL” もすっかり姿を消して過去の遺物になってしまったが、この作品には彼らのスピリットがまだまだ健在、こんな再生方法があるとは目から鱗が落ちた。黒衣装のOL4人組も女優に演じてほしかったが。

監督  関和亮
出演  永野芽郁/広瀬アリス/菜々緒/川栄李奈/大島美幸/勝村政信/松尾諭/丸山智己/遠藤憲一/小池栄子/ファーストサマーウイカ/室井滋
ナンバー  93
オススメ度  ★★★*


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