こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ゴジラvsコング

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人間と意思疎通ができるモンスターは捕らわれの身になっている。人間の思惑など意に介さないモンスターは海洋を泳ぎ回っている。物語は、人間たちの愚かな欲望のために相まみえることになった二大モンスターの激闘を描く。米国発のモンスターは、驚異的な跳躍力と太くて長い腕から繰り出されるパンチが抜群の破壊力を持つ。日本発のモンスターは、尻尾でひと叩きするだけで駆逐艦を真っ二つにぶち壊し、口から吐く熱線はあらゆるものを焼き尽くす。そして、双方ともに彼らの力を利用しようとする人間が背後についている。洋上の軍艦から大都会のビル群、2頭のバトルは壮絶を極め、重量級の迫力がスクリーンから満ち溢れていた。ゴジラとコング、どちらが強いのかをあいまいにせずはっきりと結果を出しているところは好感が持てた。

南極にある地下空洞の入り口にコングを輸送中、ゴジラに襲撃される。コングは応戦、艦隊もコングを支援するが、水中を自由に動き回れるゴジラの圧倒的なパワーの前に苦戦を強いられる。

古来より地下世界ではコングとゴジラは永遠のライバルとしてしのぎを削っていたという設定。地上でもお互いの存在を感知しあい、戦う運命と定められている。それ故にコングは、故郷の環境を模した巨大ドームの中で人間に監視されながらゴジラに気配を悟られないように暮らしている。このあたり、研究者は “コングのため” と言いながら結局は名声を得るのが目的。一方でゴジラ分析を進めている日本人科学者もゴジラの能力を新たなマシンに応用しようとしている。2頭を人間の手に負えない崇高な力として扱うのではなく、観察の対象と見ているあたり、好奇心こそが人間を進化させたと教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、3人組が巨大ハイテク産業の陰謀を暴くプロセスは雑な出来栄えで、暴走したメカを止める方法も幼稚。地下で重力が反転するシーンもイマジネーションを刺激してくれなかった。人間と心を通わせたコングより、あくまで孤高を貫くゴジラのほうがクールなのは確かだ。

監督  アダム・ウィンガード
出演  アレクサンダー・スカルスガルド/ミリー・ボビー・ブラウン/レベッカ・ホール/ブライアン・タイリー・ヘンリー/小栗旬/ケイリー・ホトル
ナンバー  119
オススメ度  ★★*


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