こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

女子高生に殺されたい

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演劇少女、柔道少女、霊感少女、多重人格少女etc. さまざまなタイプの美少女に笑顔で接し声をかける高校教師。彼は歪んだ自殺願望を抱えてずっと生きてきた。物語は、9年前に起きた奇妙な事件に憑りつかれ、心療内科医から教師に転身した男が、捜し続けてきた少女に狂った願望を押し付けようとする姿を描く。一見人当たりのいい好青年、女生徒たちの人気は高い。自分に熱視線を送ってくる生徒の気持ちを巧みに操り、興味なさそうな生徒には積極的に接近して振り向かせようとする。だが彼の目的は性的なものではなく、彼女たちのひとりに殺されること。他人を陥れたりする異常者ではあるが、なるべく暴力的にはならないように心掛けている。そのバランスが非常に巧みにで、なんか主人公の願いを叶えてやりたくなった。

新任の高校で2年の担任になった春人は、真帆、あおい、京子、愛佳の4人に的を絞る。文化祭の演劇に向けて計画を進める間、キャサリンという超絶パワーを持つ少女が現れるのを待つ。

春人は、日本史の教師としては至極まとも。遺跡を研究する部活を立ち上げると真帆とあおいが入部する。演劇では京子を熱心に指導する。柔道部の愛佳にも目をつける。岩場で手を取ったり、膝と膝をタッチしたり、窮地を救ったり、彼女たちの乙女心をそれぞれの性格に合わせて自分に向けさせるテクニックは、さすが心理学を学んでいただけのことはある。このあたり、少女たちが春人の罠に落ちていく過程がわざとらしくなく、それほど悪意が感じられない演出ゆえにむしろ不穏な不協和音が鳴り響いているかのよう。安易なホラー仕立てにしなかったことに好感が持てた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

2学期になると、春人の元恋人・五月がカウンセラーとして赴任してくる。春人の過去を知る五月は、彼の計画を察知する。このふたりの関係もひねりすぎずこねすぎず適度な緊張感をもたらす。そして文化祭の当日、春人は人生をかけて練り上げた計画を実行に移す。春人の気持ちは理解できないが、そこにロマンを感じた。

監督     城定秀夫
出演     田中圭/南沙良/河合優実/莉子/茅島みずき/細田佳央/大島優子
ナンバー     65
オススメ度     ★★★*


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