こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード

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銃弾の雨にさらされても大型SUVに追跡されても決して引き金には指をかけない。不殺の誓いを自らに課した男は、その頭脳と肉体を武器に世界を破滅に導く巨大な陰謀に立ち向かう。物語は、腕利き警備員と殺し屋、殺し屋の妻がヨーロッパ全域を担う電源設備を狙ったテロ組織と戦う姿を描く。テロ組織の首魁はEUから経済制裁を受けたギリシアの有力者。地中海文明の起源であるギリシアに対する非礼な振る舞いに腹を立てている。今やインフラを破壊し生活を混乱させるのに爆弾や武器は必要ない。電力を管理するシステムをウイルスに感染させるだけで、社会は崩壊する。コンピューターのネットワークに支配された現代社会のセキュリティがいかに脆弱なものであるかを、このテロリストたちは教えてくれる。

女詐欺師のソニアから彼女の夫・ダリウスを救出してくれと頼まれたマイケルは、ギャングのアジトに乗り込む。無事ダリウスを救出するがボスを殺してしまい、3人はボスの代理人に指名される。

銃口を向けてくる者にはためらいなく銃弾をぶち込むソニアとダリウス。セラピーのおかげで銃を持てないマイケルは、仕方なく相手が死なない程度にぶちのめす。血なまぐさい世界で生きてきたのに、流血を忌避しているマイケル。身に起きたことを逐一自分の留守電に吹き込んで記録に残すなど、セラピストのアドバイスを守って精神的な脆さを克服しようとしている。超人的な身体能力を持っていても心はガラスのよう。そんな強さと弱さを併せ持つマイケルに対し、ソニアはひとりイケイケ調で突っ走る。その対比がジェンダーフリーを象徴していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、銃撃戦は派手な割には単調で描き方が雑。血しぶきは飛ぶけれどアクションにキレがなくシューティングゲームのようだ。カーチェイスで超絶技術を見せてくれるわけでもなく、追手が次々と自滅していくばかり。もっと、登場人物の視点に立って彼らが味わうスリルやスピード感を体感させてほしかった。この映画のテイストにはまったく馴染めなかった。

監督     パトリック・ヒューズ
出演     ライアン・レイノルズ/サミュエル・L・ジャクソン/ サルマ・ハエック/アントニオ・バンデラス/モーガン・フリーマン/フランク・グリロ
ナンバー     69
オススメ度     ★★


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