こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

カラダ探し

みんな血飛沫を上げて死んでいった。自分も最後に殺された。昨夜の体験は悪夢だったのだろうか。だが、目覚めると日付が変わっていない。母からも昨日と同じ言葉を投げかけられる。学校に行っても強烈なデジャブ。物語は、バラバラ殺人事件被害者のパーツをすべて集めるまで同じ夜が繰り返し殺され続ける世界に引き込まれた少年少女の奮闘を描く。恨みと憎しみに満ちた亡霊は物理的な攻撃を仕掛けてくる。学校の敷地からは出られない。いつの間にか追い詰められた彼らは、ひとりまたひとりと凄惨な死を遂げていく。ところが、朝になると元通り、深夜になるとまた召喚される。いつしか、死んでもすぐにやり直せると知った彼らは、逃げ惑うよりも闘う道を選ぶ。不満だらけの高校生活が恐怖を通じて輝き始める、そのユニークな発想が楽しい。

友達のいない明日香は弁当もひとりで食べている。7月5日に日付が変わった深夜、礼拝堂に召喚された明日香は、同時に集められた5人のクラスメートと共に、カラダ探しを始める。

血塗れの赤い人が深夜の校内で6人を追いまわす。赤い人に捕まると胴体を真二つにされたり、串刺しにされたり、切り刻まれたり、床にたたきつけられたり、高所から落とされたりと、ホラー映画の定石の手法で命を落とす。それでも、その記憶を保持したままリセットできると知ると、6人は戦略を立てて赤い人対策を練る。1度で成功しなくても、また明日があるとあきらめず、ひとつずつカラダのパーツを集める過程は、共通の目的を持つ仲間同士の友情に昇華されていた。ビーチで戯れる彼らの笑顔がまぶしかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

殺人事件現場に踏み込むと、その夜から赤い人と合体したぬいぐるみが巨大化して明日香たちを襲い始める。しかし、仲間の理恵が捕食されると彼女の存在自体が昼間の世界からも消えてしまうなどというアイデアは、苦し紛れの一手にしか見えない。ホラーの中にも青春のきらめきを取り入れ爽快さも感じさせていただけに、後半ネタが尽き失速したのは残念だった。

監督     羽住英一郎
出演     橋本環奈/眞栄田郷敦/山本舞香/神尾楓珠/醍醐虎汰朗/横田真悠/西田尚美/柄本佑
ナンバー     197
オススメ度     ★★*


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