こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

貞子DX

呪いによる死なんか存在しない。思い込みが偶然と一致しただけ。科学を信奉する彼女はそう言い切って頻発する超常現象を解明しようとする。物語は、20年ぶりに息を吹き返した都市伝説と対峙する女子大生の奮闘を描く。葬られたはずのビデオがネットで売られている。だが、それを再生するデッキはもうほとんど手に入らない。限られた人だけがその内容を確認するが、なぜか死ぬまでの時間が大幅に短縮されている。テクノロジーの進化に合わせて呪いも進化したのか。だとしたら怨念のようなものではなく物理的な力を持っているのか。さまざまな仮説を立て、理論的にそのパターンを解明し対策を練る過程が、時の流れと共に変化した価値観の違いを感じさせる。そもそも女子高生はビデオ自体を知らないという事実には、貞子もお手上げなのだ。

不審死が相次ぐ中、文華はTVの検証番組で共演した霊媒師のケンシンから呪いのビデオをもらう。妹がそのビデオを見ると白昼白い服の男に追われる幻覚にとらわれるようになる。

イムリミットは24時間、それまでに解決策を見つけないと妹は死ぬ。文華はインチキ占い師・王司とともにビデオを分析する。すると彼らも白い服の人物が見えるようになる。それは貞子ではなく、どうやら心の中に浮かんだ親しい人物のようである。文華は、その症状の原因をウイルスと仮定、感染経路とウイルスの性質から拡散パターンを予想する。あほ丸出しの王司の大げさなリアクションには鼻白んだが、彼のアプローチを拒否し続ける文華の毅然とした態度は爽快だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて明らかになるケンシンンの正体と、迫りくる貞子との対決の瞬間。研究された貞子は文華たちに有効な手を打てない。これでいいのか、貞子。withコロナ時代ならぬwith貞子時代の到来。味わった屈辱と苦悩と恨みと怒りを晴らすために人間どもに復讐を誓ったはずなのに、もはや人間からは対症療法可能なウイルス扱いされてしまっている。もっと恐怖のどん底に突き落とすくらい暴れまわってほしかったのだが。。。

監督     木村ひさし
出演     小芝風花/川村壱馬/黒羽麻璃央/八木優希/渡辺裕之/西田尚美/池内博之
ナンバー     203
オススメ度     ★★*


↓公式サイト↓
https://movies.kadokawa.co.jp/sadako-movie/