こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

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「心の声に従え」「不可能と思えることに挑戦しろ」「欲しければ行動しろ」「ルールを疑え」そして最後は「JUST DO IT」。結果を出すためには常識の逆を行き、誰もが反対するようなアイデアを実行する。そのためにはタフな精神と粘り強い交渉力、なにより絶対にあきらめない根性が必要。物語は、世界的な大ヒットシューズが生まれるまでの苦難の歴史を再現する。崖っぷちビジネスマンが狙うのは、実績ゼロの新人アスリート。確かに学生時代の実績は申し分ないが、プロとしてどこまで伸びるかは未知数。それでも何度もビデオを見ているうちに主人公はその神がかった才能に気づき、彼に賭けようとする。周囲をひとりずつ説得し、巻き込み、やがて成功に導いていく過程は結末がわかっていても鳥肌が立つほどスリリングだ。

ナイキのバスケットボール部門立て直しを命じられたソニーは、プロ入り前のマイケル・ジョーダンと契約し、彼の名をつけたブランドの立ち上げを計画する。マイケルはアディダスと契約寸前だった。

マイケルは母の判断に従うと知ったソニーは、代理人に電話するのを厳禁されていたことを逆手に取り、直接母を訪ねる。また母も突然の訪問者に迷惑そうな視線を浴びせるが、一方でわざわざ足を運んできた熱意を認めている。まだ電話でコミュニケーションをとっていた時代、対面の効果は絶大。当然代理人は激怒するが、彼もまたソニーの実行力に一目置くようになる。時に顰蹙を買うようなこともあえてやる。それが必ず成果を生むと信じる。ソニーにどの程度の勝算があったのかはわからないが、もう後がないことはわかっている。リスクを取らないとリターンが生まれないのも明白。未来を他人任せにせず自力で切り開こうとするソニーの姿は米国人のフロンティア精神を体現していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、ひとつのサクセスストーリーの陰で怒死屍累々というのがこの世の現実。ソニーの手柄は幸運な偶然に恵まれただけとも思える。運命はわからない。だからこそ努力を惜しんではいけないとこの作品は訴える。

監督     ベン・アフレック
出演     マット・デイモン/ベン・アフレック/ジェイソン・ベイトマン/マーロン・ウェイアンズ/クリス・タッカー/クリス・メッシーナ/ビオラデイビス/マシュー・マー
ナンバー     63
オススメ度     ★★★*


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