こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

65 シックスティ・ファイブ

未知の惑星に不時着した。空気や水、気圧や重力など生存に適した環境ではあるが、植物は密に生い茂り肉食獣が跋扈している。物語は、恐竜時代の地球にやってきた宇宙旅行中の高度文明人と少女のサバイバルを描く。宇宙船の他の乗員は死んだ。救命用ポッドは山の上に墜落した。帰還するには乏しい装備を背負ってそこまでたどり着かなければならない。群れをなす小型肉食竜から知能の高い中型、おなじみのT-Rexや大空を舞う翼竜まで、CGで再現された恐竜たちはリアルかつ洗練されている。一方で、訪問者たちは21世紀の地球人と体格体形知能も同程度で テクノロジーもさほど変わらない。安易なアイデアを無理やりつなぎ合わせた設定だったが、これなら現代人がワームホールに誤進入し過去にタイムスリップしたという方が説得力はあるのでは?

機体の残骸から脱出したミルズは森でコアという生存者の少女と出会う。翻訳機も壊れ言葉は通じないが、同道しているうちにコミュニケーションが取れるようになる。

名前を教え合った後は、“home”“family” といった単語と概念をコアに教えるミルズ。相手の言葉をひとつも覚えようとはせず自分たちの言葉を押し付けるあたりいかにもアメリカ人的で笑ってしまった。やっぱりこの時代の宇宙人でもこういう性向を持つ人々はいたのだろう。また、コアはミルズの持ち物の中からホログラム装置を持ち出し、彼の娘の映像を立体的に再生したりする。そのデータはカセット式で、いちいちインデックスでコンテンツを確かめる仕組み。そのローテク感が妙に懐かしかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

襲い掛かる恐竜たちを撃退しながら目的地を目指すという展開は、そのまま「ジュラシック・パーク」をなぞる。強力な小銃型火器やピンポン玉大の手榴弾を携帯してはいるが補充は利かず、途中でエネルギー切れ(弾切れ?)を起こしたりもする。星間航行する技術を持っているのなら、もっと小型で強力な武器も発明されているはずだが。。。そのあたり、ディテールにこだわらない割り切りは、むしろ潔かった。

監督     スコット・ベック/ブライアン・ウッズ
出演     アダム・ドライバー/アリアナ・グリーンブラット/クロエ・コールマン
ナンバー     101
オススメ度     ★★


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