走り、跳び、ぶちのめし、射撃し、空も飛ぶ。超人的な頑丈さと身体能力の高さで不可能と思われるミッションに挑む男。そしてそばにはプロポーション抜群のセクシー美女。物語は、大量殺戮を目論むテロリストと対テロ特殊部隊の闘いを描く。余命宣告を受けた将軍は祖国の名誉のために闇組織と手を組む。陰謀を察知した政府はナンバー1工作員を送り込み阻止しようとする。そこに絡んでくる敵対国の女スパイ。ヘリコプターから自動車、超高層ビルから山間部を走る列車、さらにはフライングスーツまで登場するアクションの数々は、息つく暇もないほどの波状攻撃で五感を刺激し続ける。インド映画の原点でもあるサービス精神に満ちた映像と展開はやや過剰だが、シャー・ルク・カーンの圧倒的な存在感ががそれを打ち消す。
アフリカの武器商人からインドでの大規模テロ情報をつかんだパターンは、かつて同僚だったジムが黒幕と知る。パターンはジムの組織に潜伏した女スパイ・ルバイと協力して金庫破りに挑む。
高層ビル上層階の金庫の中に保管されている兵器を奪うためにパターンとルバイは上空からの侵入を試みる。ワイヤーで小型機に吊られたまま運ばれ、ビル屋上斜面に飛び移るのだが、その方法が非常に幼稚。その前にも科学者を誘拐するシーンがあるが、トラックやヘリコプターを使う割にはアイデア倒れで、見せ方の工夫とその設定の必然性が見えてこない。正義のヒーローが暴れまわる大活劇を見せたいのだろうが、主人公は鍛え上げられているとはいえ生身の人間という前提ならば、もう少しリアリティを出してほしかった。この荒唐無稽さは笑えなかった。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
また、爆走する列車の屋根で繰り広げられる格闘と谷に落ちる客車からの脱出シーンなど、スクリーンに投影された背景の前で俳優たちが演技をしているのがミエミエのクオリティ。同様の見せ場で最高のスリルと興奮を喚起させるトム・クルーズ最新作と比べると差は歴然だった。
監督 シッダールト・アーナンド
出演 シャー・ルク・カーン/ディーピカー・パードゥコーン/ジョン・アブラハム/ディンプル・カパディア/サルマーン・カーン
ナンバー 161
オススメ度 ★★*
↓公式サイト↓
https://pathaan-movie.com/