こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

私がやりました

無理やり体を押し付けてきた男が他殺体で見つかった。死亡推定時刻あたりには現場にいた。アリバイはない。警察にも疑われている。ならばこの事件を利用して有名になる手があるのでは。。。物語は、一つの殺人事件を巡って2人の女が真犯人の座を争う姿を描く。売れない女優は有名になるチャンスと殺人事件被告として法廷に立ち、駆け出し弁護士は男社会の不条理を暴いて無罪を勝ち取る。まだまだ女の権利が制限されていた1930年代パリ、男の理論に泣かされていた彼女たちはむしろそれを逆手にとって世間の同情を買う。メディアを巧みに利用して世論を味方につけ硬直した司法制度に戦いを挑む彼女たちの雄姿は現代のフェミニストとは一線を画し、エスプリとエレガントさで満ちている。スクリーンに登場すると場の空気を一変させるイザベル・ユペールの貫録に圧倒された。

セクハラプロデューサー殺人事件で起訴されたマドレーヌは犯行を認めるが、ポーリーヌの法廷作戦で無罪を勝ち取る。人気が出たマドレーヌの元にオデットという女優が訪ねてくる。

オデットはサイレント時代の大スターだったが、マドレーヌもポーリーヌも彼女を知らない。身体だけで感情を表現するためあらゆる所作が芝居がかっているオデット。そしてその癖が抜けないままトーキーへの転換に乗り遅れた彼女の悲哀がコミカルに再現されていた。オデットは自分がプロデューサーを殺したと主張しその証拠も持っている。そして、法廷で偽証したマドレーヌを脅迫してカネを要求する。だが、マドレーヌとポーリーヌは彼女と共謀して新たな作戦を練る。彼女たちを搾取してきた敵はあくまで男たちであって、オデットは新たなパートナーという認識。プロデューサーだけでなく刑事検事判事秘書恋人とカネか女か権力にしか興味のない間抜けなキャラがそろった男たちと好対照をなしていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

公演中の芝居で欠員の出たマドレーヌの母役をオファーされたオデットが強引に姉役に変えさせるシーンが、女の見栄が強調されていて笑いを誘う。

監督     フランソワ・オゾン
出演     ナディア・テレスキウィッツ/レベッカ・マルデール/イザベル・ユペール/ファブリス・ルキーニ/ダニー・ブーン/アンドレ・デュソリエ
ナンバー     201
オススメ度     ★★★


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