こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

法廷遊戯

きりりとしたスーツに身を包み金バッジを胸につける。誰が見ても使命感に燃える有為な若者、だが彼の過去には決して消せない汚点があった。物語は、ロースクールの同級生だった3人の法律家の深いしがらみと葛藤を追う。殺人事件の被害者は法学の道に進んだ成績優秀な男。弁護士になった男は幼馴染でもある女被告の弁護を担う。だが女は接見でも一切しゃべらず、全体像すらつかめないまま弁護士は裁判に臨む羽目になる。彼女の目的はいったい何なのか、3人の関係が明らかになっていくうちに、被害者が仕掛けたこのゲームの真の意図が明らかになっていく。その過程はスリルとサスペンスに満ち、弁護士が真実に近づくほどに彼と被告の良心が問われていく。痴漢事件は「被害者」の言い分が100%通るという歪んだ現実が痴漢美人局と冤罪を生んでいるのだ。

同級生だった馨に呼び出された清義は馨の刺殺体と血塗れの美鈴に遭遇する。美鈴は逮捕、起訴されるが黙秘を通し、何の準備もできないまま清義は第一回公判を迎える。

清義と美鈴は同じ児童養護施設で育ち、かつて清義は施設長から性的虐待を受ける美鈴を守るために傷害事件を起こしている。ところが、少年事件として処理されていたはずなのに、ロースクールの控室で学生たちに暴露される。いい年した大人にしては幼稚ないじめ、司法試験を受けるほど優秀と思われる学生だったらもう少し大人の対応ができたはずだ。また美鈴も何者かから監視や盗聴を受け脅えている。この2人が相当誰かに恨まれているという意外性がよりノワールな世界にいざなってくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

そして法廷で明らかにされる清義と美鈴の本性。馨が命を懸けた動機には大いに同情するが、その馨にしても父の名誉回復と復讐のために、おそらく偶然ロースクールの同級生になった2人を長期間にわたって追跡し続け罠にはめるなど、やっていることは非常に陰湿で執念深い。まあ、正義感ぶった法曹界に碌な人間はいないということか。

監督     深川栄洋
出演     永瀬廉/杉咲花/北村匠海/戸塚純貴/黒沢あすか/柄本明/生瀬勝久/筒井道隆/大森南朋
ナンバー     203
オススメ度     ★★*


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