こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ゴジラFINAL WARS

otello2004-12-14

ゴジラFINAL WARS


ポイント ★★★
DATE 04/12/9
THEATER HUMAX
監督 北村龍平
ナンバー 145
出演 松岡昌宏/菊川怜/ドン・フライ/水野真紀/北村一輝
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


精巧な模型でできた街を怪獣が破壊する。慌てて逃げ惑う群集を合成するのはお約束。ニューヨークやパリ、上海といった場面で外国人が登場するシーンでもわざわざ日本語に吹きかえるという手の込みよう。もはやここまで古臭さにこだわると、菊川怜水野真紀ケイン・コスギらのへたくそな演技も完全に作品世界にマッチして心地よさを感じさせる上、昔ながらの着ぐるみを使ったおかげで圧倒的な質感の伴った血の通った映像に仕上がっている。リアルさを追い求めるのではなく、絵空事としての映画。怪獣たちだけでなく俳優たちも絵空事のルールに従って大げさな演技をする。全体的に安っぽい雰囲気がぷんぷん匂ってくるのだが、その時代がかった空気がとても楽しくい。


世界各地に突如として怪獣たちが出現、ミュータントたちで構成された地球防衛軍が手を焼いているうちに、謎のUFOが現れ怪獣たちを消し去る。しかしUFOに乗った宇宙人は地球を征服に来たと知った地球防衛軍は、地球を救うために南極に眠るゴジラを目覚めさせる。


ゴジラには自我があるのだろうか。目の前にある街を破壊し、怪獣が現れれば倒す。平時には人間の敵だが、自分より人間に害を及ぼす怪獣が出現した時は迷わず戦う。普段は邪魔者、有事のときだけ必要とされる。人間に憎まれ恐れられながらも人間に必要とされる。平時に暴れるのは本当に人間から愛されていないことに対する裏返しの気持ちからなのだろうか。昔から比べるとずいぶん小顔になったが、その恐ろしい容貌の内側は案外寂しがりやなのかも知れない。


ゴジラは圧倒的な強さでザコ怪獣たちを軽く一蹴し、宇宙人が連れてきた最強の怪獣と戦う。地球の危機を救うために当然モスラも加勢、最後にはシリーズ1番人気の敵役キングギドラとの死闘。すべての展開がゴジラシリーズのファンを意識している上、ファンの一番喜ぶ組み合わせでクライマックスを迎えさせるというサービス精神は立派だ。


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