こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

燃える仏像人間

otello2013-05-23

燃える仏像人間

監督 宇治茶
出演 井口裕香/寺田農/原知佐子/北岡龍貴
ナンバー 58
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

欲望や怨念・憎悪や嫉妬といったドロドロとした内面をさらけ出すようなタッチの絵と、背後に広がる奇妙奇天烈な世界観は、まさに今までに見た経験のない不気味なもの。背景と建物をずらすことで奥行きをだし、人物の切り絵を動かして物語を構築するという試みはCGアニメが主流の現在においては強烈なインパクトを残す。映画は両親を殺された少女が体験する狂気と恐怖、そして復讐を描く。だが、このストーリーを通じて何が言いたかったのかは不明の上、ホラー調のヘタウマ画が醸し出す雰囲気は決して気持ちの良いものではない。それが作者の狙いであるとわかってはいるのだが。。。

女子高生・紅子は自宅の寺に帰ると、両親の斬殺死体を発見、本尊も盗まれていた。彼女は旧知の僧・円汁の寺に引き取られるが、そこで両親と仏像が合体した仏像人間と遭遇する。その陰には物質転送装置を使って仏像を盗む一団の恐るべき計画が隠されていた。

その後寝たきりの祖母・ベニラや物質転送の際に誤って仏像と融合してしまった仏像人間、円汁の野望を阻もうとする僧侶などが跳梁跋扈し、紅子の戦いに力を貸したり足を引っ張ったりと大忙し。しかし、基本的に同一カット内では登場人物の表情もポーズも変わらないので、むしろ感情を強調したままの絵の持つ力が紅子をはじめ登場人物の喜怒哀楽を直接心に訴えてくる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて紅子は時間軸が違っているパラレルワールド(?)と現世を行き来したり、両親が融合した仏像と再び対峙したり、最後にはあらゆる悲劇の原因となった円汁の陰謀に終止符を打とうとする。その過程もあまり整理がされているとはいえず、どこかBホラーを見ているときのような嘆息を漏らしてしまう。それでも一度見たら忘れない点においては、十分な効果は上げていたが。。。

オススメ度 ★★

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