こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マスカレード・ナイト

f:id:otello:20210922110159j:plain

年の暮れに発見された他殺死体、直後に大みそかの夜に再び惨事が繰り返されるという密告状が警察に届く。物語は、都心部にある一流ホテルで殺人事件が起きると予告された警察が大量の捜査員を投入して事件の謎を解き、犯人を確保する過程を描く。捜査員とホテルマン、現場のリーダー同士は旧知の仲、そりが合わないけれどお互いが非常に優秀であることは理解している。口げんかは絶えなくてもいざというときは一番頼りになる相手、ホテル内のあちこちで起きる小さな事件と訪れるさまざまな奇人変人クレーム客に対応する。その間にも刻一刻と迫る犯行時間、2人はホテル内を縦横無尽に走り回り、次から次へと起きるトラブルを解決していく。警察による犯人捜しよりも、捜査本部とホテル側のプライドをかけた駆け引きが印象的だった。

みそかにホテルで催されるカウントダウンパーティ「マスカレード・ナイト」に殺人犯が現れるという情報が警察に届き、新田以下捜査員はホテル従業員に偽装して参加者をチェックする。

ホテルのコンシェルジュ・山岸はこの日も無理難題を吹っ掛ける客に右往左往しながらも抜群の機転と行動力で解決していく。新田は彼女の協力を得て、怪しげな客をひとりずつ調査していく。2人のやり取りはスリリングかつコミカルで、人気テレビドラマの延長線上にいるような気分になってくる。十数人に及ぶ主要登場人物も顔なじみの俳優ばかりで交通整理も手際よく、奇妙な安心感があった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、風船で看板を隠したり逮捕状もなしに身柄を拘束したり登用試験に一般客を巻き込んだりするのは、明らかに法的にもモラル的にも逸脱している。そもそも設定に無理があったが、もっと説得力のある解決策を考えられなかったのか。さらに、望遠レンズでカーテンがかかっていない向いの部屋を覗き見るのを問題視したら、ヒッチコックの「裏窓」はどうなるの? まあ、キムタクと長澤まさみ夢の再共演、ファンタジーにツッコミを入れるのは野暮というものか。

監督     鈴木雅之
出演     木村拓哉/長澤まさみ/小日向文世/田中みな実/石黒賢/沢村一樹/勝村政信/木村佳乃/麻生久美子/高岡早紀/博多華丸/鶴見辰吾/篠井英介/石橋凌/渡部篤郎
ナンバー     167
オススメ度     ★★


↓公式サイト↓
https://masquerade-night.jp/