こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

希望と絶望 その涙を誰も知らない

メンバーならだれもが目標にしているはずなのに、名前が呼ばれても笑顔はなく、驚きと不安の表情が浮かび上がるだけ。一番目立つけれど、その分グループの顔として媒体露出も増え時間が削られていく。レッスンにも一段上の緊張感を持って臨まなければならない。アイドルグループのセンターとは、それほどの覚語が必要なポジションなのだ。もちろん仲間たちは励ましてくれるけれど、心を割って悩みを相談できない。それでも本番の日は容赦なく迫ってくる。プレッシャーに押しつぶされそうになりながらもぎりぎりで歯を食いしばって耐え、期待に応え責任をまっとうしようとする姿が印象的だ。まさに命を削ってステージに打ち込んでいる。アイドルという生き方を選んだ彼女たちの汗と涙の軌跡は、ひたむきな努力の尊さを教えてくれる。

東京ドーム公演が決まったとサプライズ発表され、大いに盛り上がる日向坂46のメンバーとファン。だが、新型コロナの蔓延で中止、芸能活動自体も自粛を余儀なくされる。

新曲のセンターに指名された加藤は、あまりの忙しさに自分を見失いそうになり思わず泣きだしてしまう。気乗りしない番組でも元気いっぱいに演じなければならない。けがをしても休めない。仕事を減らされるかもしれないと思うとしんどいとは言えないと語る彼女は、リベラルに甘やかされてすっかり骨抜きにされた日本人に、つらくともあきらめず努力し続けることがいかに大切かを訴える。誰もが彼女たちのように頑張れるわけではないが、Z世代にもこういう若者がいるのは、日本の将来に希望が持てる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

夏の屋外ライブではダウンするメンバーが続出。それでもディレクターからはもう少し上を目指せと激励される。その後も、要求の高さに疲れ果て、メンバーの心がバラバラになっていく。危機感を覚えた彼女たちは、自分たちで改善策を話し合ってディレクターに提案することで、気持ちをまとめていく。彼女たちの変化は、信頼のおけるリーダーが集団の結束を固めることを示していた。

監督     竹中優介
出演     潮紗理菜/影山優佳/加藤史帆/齊藤京子/佐々木久美/佐々木美玲/金村美玖/丹生明里/濱岸ひより/高橋未来虹/日向坂46
ナンバー     128
オススメ度     ★★★


↓公式サイト↓
https://hinatazaka46-documentary.com/