こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

炎のデス・ポリス

留置場はとりあえず安全なはずなのに、いつの間にか殺し屋が潜り込んでいる。警官を巻き込んで時間を稼いでいると、今度はサイコ野郎がやってくる。いまや警察署は死体の山、生き残るには知恵と度胸を振り絞るしかない。物語は、人里離れた砂漠にある警察署で起きた銃撃戦を描く。弱みを見せれば付け込まれる。誰もがハッタリをかましている。焦りと怒り、恫喝と説得、狂気と冷血、裏切りと欺瞞、血と銃弾。3人の男と1人の女、それぞれが契約、復讐、職務といった強い意志に支えられて己の役割をまっとうしようとする。誰も信じられない。生き残るためには引き金を引かなければならない。躊躇や逡巡は命取りになる。極限まで高められた緊張はやがて暴発し、さらなる銃弾の雨が降る。四者四様の強烈なキャラ設定がうまくはまっていた。

女警官のヴァレリーを殴って逮捕されたテディを見たボブは、飲酒運転でわざと事故を起こし、テディと向かい合う留置場に収容される。ボブはテディを殺すために仕掛けを起動させる。

ヴァレリーの機転でテディは助かるが、新たな刺客・トニーがやってきたことから、ヴァレリー、テディ、ボブの3人は留置場に籠城する羽目になる。汚職警官を従え銃武装したトニーに対抗するため3人は協力せざるを得ない。お互いを疑いつつも、トニーという共通の敵を倒すために力を合わせるのだ。テディとヴァレリーは揺さぶりをかけられると顔に出るが、腕に自信を持つボブとそもそもサイコパスのトニーはむしろ命がけのスリルを楽しんでいる。若いヴァレリーがこの状況下で警官としての自覚を高めていく姿は、青臭い理想が確固たる正義感に脱皮する過程でもある。実戦と実践こそが人間を育てるのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

署内の警官はトニーに始末され、外回り中の警官は汚職組。孤立したヴァレリーは一貫して態度を変えないボブに一目置く。そこからも虚々実々の駆け引きは続くが、やはり信頼の絆がない者は倒れていく。揺るがない信念が己を救うとこの作品は教えてくれる。

監督     ジョー・カーナハン
出演     ジェラルド・バトラー/フランク・グリロ/アレクシス・ラウダー/トビー・ハス
ナンバー     133
オススメ度     ★★★*


↓公式サイト↓
https://copshop-movie.jp/