こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

バイオレンスアクション

飛び跳ね、ダイブし、銃弾をかわし、飛び蹴りを見舞い、ナイフで切り刻む。向かってくるチンピラは容赦せず、目にも止まらぬ動きで瞬殺する。物語は、女殺し屋とヤクザ組織の抗争を描く。任された仕事はきちんとこなす。時に、ターゲットと依頼人が入れ替わったりする。裏切りと欺瞞に満ちたヤクザの世界、敵味方がわからぬうちに武闘に巻き込まれ、己の信じた道を突き進むヒロインはキュートでセクシー。成熟した大人の魅力ではなく、少女の面影を残す彼女が拳銃をぶっ放す姿が大いにギャップ萌えする。殺し屋たちもヤクザたちもユル~くまとまった映像はスピーディかつアグレッシブだが、時にカマされる強烈なボケはツッコミを入れるのもはばかられるくらいスベっていて、奇妙な味わいを醸し出していた。

三代目の跡目を狙う木下は、ケイを使って敵対グループを一掃する。その後、組のカネの流れを知るテラノの暗殺を命じられたケイは、さまざまなヤクザたちと闘う羽目になる。

個性的な殺し屋とヤクザが暗躍するなかでも、ピンク髪のケイはひときわ異彩を放っている。一方で最強の刺客・ミチタカは巨躯に似合わぬ身のこなしでケイに迫ってくる。圧倒的な体格差がある2人の格闘は、細かなショットで紡がれ目くるめく興奮を体感させてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、ケイを演じる橋本環奈がほとんどアクションをこなしておらず、スタントウーマン任せなのは拍子抜け。負傷の危険があるようなシーンならまだしも、ちょっとした肉弾戦ぐらいなら本人に体を張ってもらいたかった。また、ズラさんや三代目が笑いを取ろうと奮闘するが、寒くなるだけ。タランティーノ風のブラックジョークを狙っているのはよくわかるのだが、ことごとく外していて、スクリーンを見つめているのがつらかった。原作のエッセンスを盛り込もうとやたら展開がごちゃごちゃしているのも難点。もっと脚本の段階ですっきりさせて、映画ならではの斬新な発想で、ユニークな暗殺技術を開発するくらいの意気込みを見せてほしかった。

監督     瑠東東一郎
出演     橋本環奈/杉野遥亮/鈴鹿央士/馬場ふみか/森崎ウィン/大東駿介/太田夢莉/佐藤二朗/城田優/高橋克典/岡村隆史
ナンバー     151
オススメ度     ★*


↓公式サイト↓
https://www.va-movie.jp/