こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

犬も食わねどチャーリーは笑う

家事をまったく手伝わない夫にいら立つ妻は、投稿サイトでうっ憤を晴らしていた。物語は、恋愛結婚して4年になる夫婦が迎えた危機を描く。すっかり変わってしまった妻にげんなりする夫。全然気持ちを理解しようとしてくれない夫にうんざりする妻。お互いがきちんと向き合おうとせず、話題を避けているうちにいつの間にか修復できないほど溝が広がっている。出会った頃はあんなにかわいかった。うんちく話を面白そうに聞いてくれた。思い出に浸るたびに夫も不満が募っていく。一方の妻は、ストレスフルな職場で心が折れかけているのに、家に帰って夫と顔を合わせても孤独しか感じなくなっている。わずかなすれ違い、1つのボタンの掛け違い。それだけで、結婚などという契約は簡単に破綻に向かう。その現実がコミカルに再現されていた。

「旦那デスノート」というサイトに思い当たる事柄が書きこまれているのを知った裕次郎は、妻・日和の仕業と確信する。日和のコメントは人気を呼び出版社が書籍化を提案してくる。

裕次郎は職場の後輩のマリッジブルーに付き合ったり女子店員に色目を使われたりと、家の外では多忙ながらも充実した日常を送っている。それでも日和のコメントが更新されるたびに思わず見てしまい、気分の晴れない日が続く。日和もオフ会で一緒になった蓑山裕次郎の行動を見張らせたりする。もはや相手のあら捜しばかりしている夫婦。片付けをしなくなった日和のせいで彼らのアパートが散らかり放題になっていく過程は、アレクサでは解決できないこの夫婦の複雑にこじれてしまった感情が象徴されていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

セックスレス期間の話題で「私は5年」と唐突に割り込んでくる蓑山の図々しさをはじめ、日常の些細な、それでいて共感できるエピソードの数々がディテール豊かに表現されていて、思わず脱力した。もちろんいい意味で。あと、“パフェの語源はパーフェクト” というセリフは「窓辺にて」でも稲垣吾郎扮する主人公が口にしていたが、新しい地図ではやっているのか?

監督     市井昌秀
出演     香取慎吾/岸井ゆきの/井之脇海/的場浩司/眞島秀和/浅田美代子/余貴美子
ナンバー     182
オススメ度     ★★★


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