こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

恋人はアンバー

校庭でも教室でも男子と女子は盛りのついた猫のよう。高校は性教育にも積極的でセックスを奨励している。付き合っていなくても胸や股間を触るのは当たり前。映画館では高校生たちがスクリーンそっちのけで乳繰り合っている。物語は、男女交際にはきわめてオープンな田舎町で育った同性愛者の居心地の悪さを描く。少年はホモだとばれるのを恐れている。少女はレズと呼ばれて不機嫌になる。まだまだ同性愛に理解がなかった時代、2人は「正常」を装うために付き合っているふりを続けることで合意、仲のいいカップルを偽装して少しでも好奇の目を逸らそうとする。授業中にいちゃついたり先生にいきなりキスしたりと日本ではありえないが、遠い外国のことで、どこまでがリアルでどこからがファンタジーなのか、その距離感がつかめなかった。

家族や友人の同調圧力から逃れるために、いつもヘッドホンで耳をふさいでいるエディといつも怒っているアンバー。彼らは卒業するまでの期間限定で交際を始める。

エディの父は軍人で、エディにも厳しい訓練を課して男らしく生きることを強いている。アンバーは部屋をカップルに貸して小銭をため街を出ることを画策している。あこがれているのはロンドン、故郷では味わえない、色眼鏡で見られない自由があると信じている。デートで出かけた街のナイトクラブでエディはドラァグクイーンに本心を見透かされ魂が安らぐ。アンバーも女子大生と知り合いお互いにひかれあう。初めて出会った理解者に心を許す2人の姿は、本当の自分を隠してきたことがどれほど生きづらかったかを象徴していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

彼らが通っているのは、いわゆる底辺校なのだろうか。他の生徒も関心があるのはセックスばかりで知性や向上心のようなものは感じられず、目の前の貧困から逃避しているように見える。そんな環境で己が同性愛者であることに気づいた2人は否が応でも偏見という現実にさらされる。そのあたりを深刻ぶらずコミカルに処理しているが、いまいち共感できず、話に乗れなかった。

監督     デビッド・フレイン
出演     フィン・オシェイ/ローラ・ペティクルー/シャロン・ホーガン/バリー・ウォード/シモーヌ・カービー
ナンバー     209
オススメ度     ★★


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