こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

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母が突然音信を絶った。一緒にいたはずの恋人にも連絡が取れない。言葉が通じない異国、警察の捜査権も及ばない。物語は、卓越したITスキルを駆使して旅行先で行方不明になった母を探す少女の奮闘を追う。手掛かりはSNSに残した記録、IDはメアドと同じだがパスワードは知らない。だがそこは母親、自分に何かあったときに娘がログインできるように、ちょっと考えればわかるように工夫している。そして少しずつ明らかになっていく恋人の不誠実な経歴と母が隠していた過去。通話、チャット、メール、売買、出納、検索のみならず、探偵を雇うのも防犯カメラの映像を再生するのもすべてパソコン上のコマンドで完結する。すさまじいスピードで展開する映像は圧倒的な情報量で、見る側の処理能力を試されているようだった。

母・グレイスとその恋人・ケヴィンがコロンビア旅行中に失踪する。留守番中のジューンは警察に通報するが取りあってもらえない。仕方なくケヴィンのSNS不正アクセスする。

ケヴィンは服役歴もある詐欺師で、いくつもの名前を使い分けては女たちからカネをだまし取っている。ジューンは同時にコロンビアの調査員・ハビを使ってホテル周辺の聞き込みをしてもらう。移動記録、錠前屋、観光スポットなど散らばった断片を彼女がひとつひとつ組み合わせていく姿は上質のミステリーを見ているようだ。さらにグレイスとケヴィンが拉致誘拐される現場を撮影した動画がネット上に投稿される。誰が嘘をついているのか、どこまでが偽装なのか。すべてはジューンなら気づくと計算したうえでの欺瞞なのか? 真実に手が届いたかと思うとするりと指の間から零れ落ちていく、その幾重にも張り巡らされた罠をかいくぐっていく過程がスリリングだった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、伏線回収の最終段階になってグレイスもまた複雑な事情を抱えていたり、死んだはずの人間が現れたりと、話を大きくしすぎたツケが回ってくる。どこにいても監視カメラは意識しろという警告は有効だったが、あのオチは肩透かしだ。

監督     ウィル・メリック/ニック・ジョンソン
出演     ストーム・リード/ヨアキム・デ・アルメイダ/ケン・レオン/エイミー・ランデッカー/ダニエル・ヘニー/ニア・ロング
ナンバー     70
オススメ度     ★★*


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