こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

レッド・ロケット

カネはない。仕事もない。別居中の妻に冷たくあしらわれるが、めげずに許しを請う。物語は、失職したポルノ男優が田舎町で再起を図る姿を描く。無責任だけれどポジティブ思考。口八丁手八丁、女を口説いてはモノにするテクニックだけでなく隣人の男やドラッグを求める労働者を信用させるのもお手のもの。根っからの悪人ではないが、その場限りのホラ話は人生経験豊かな女たちには簡単に見破られてしまう。そんな時出会った世間知らずの高校生。田舎の退屈な生活にウンザリして、男が話すエンタメ業界の噂や老親介護の嘘をまったく疑わない。さらに旧知の女から請け負った密売も新たな販路を見つけて懐は温かい。大した努力もせずそれなりの成功を手に入れようとする主人公の愚かさには憎めない魅力があった。

石油精製が主産業の町に戻ってきたマイキーは、妻のレクシーと義母・リルが住む家に転がり込む。ある日、ドーナツ店で働く女子高生・ストロベリーに目をつけ、彼女を付け回すようになる。

女心を巧みにくすぐるマイキーに、ストロベリーもすぐに気を許す。レクシーの目を盗んでは自転車で彼女に会いに行き、すぐにデートする仲になる。レクシーに迫られたときはバイアグラを飲んで対処するのに、ストロベリーとはナチュラルに付き合える。肉体的だけではなく精神的にも若さ溢れるストロベリーは、やがてマイキーにとっても未来の希望となっていく。もう一度ポルノ業界に返り咲きたい、それもストロベリーと一緒に。マイキーの言葉をすっかりうのみにしたストロベリーは、彼となら自分の夢がかなうと信じている。マイキーの危うさとストロベリーのナイーブさ。失敗するのが目に見えているだけに、彼らが幸せそうにデートするシーンは哀しみとはかなさに満ちていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

予期せぬ事故に遭遇したマイキーは、それを機にストロベリーとの計画を前倒しして実行に移す。だが世の中はそれほど甘くない。それでも、裸のマイキーが巨根を振り回して夜の街を走るシーンは、健康な肉体があれば人生はなんとかなると訴えていた。

監督     ショーン・ベイカー
出演     サイモン・レックス/ブリー・エルロッド/スザンナ・サン
ナンバー     77
オススメ度     ★★★


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