こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

おとななじみ

ずっと好きなのに素直に言えない。気持ちを前面に出しているのに全然気づいてくれない。そんな時、言い寄ってきたイケメンの友人。物語は、幼馴染の男女がお互いを尊重するあまり恋を進展させられず、すれちがいを繰り返す過程を描く。男は女をオカンと呼び、全面的に頼っている。女は男のアホさ加減に呆れつつも、そのやさしさと思いやりと男気にキュンとしている。ふたりが結ばれるのになにも問題はないはずなのに、思わぬ過去が彼らの行動を縛っている。あまりにも現実離れした設定と主人公の単純な思考回路はなぜか軽妙な笑いを誘い、むしろどんな奇天烈なことをやらかしてくれるのかが楽しみになってくる。どう見てもヘタレな男が一転してキレキレのダンスを踊るシーンは驚きと喜びに満ちていた。

弁当屋に勤める楓はアパートの隣の部屋に住む春の世話をしている。楓は春にずっと片想いをしてきたと思っていたが、春には楓の思いにこたえられない事情があった。

ふたりは小学生からの友達でもある伊織と美桜をくわえた4人組でよくつるんでいる。楓が春の愚痴をこぼすと嫌な顔一つせず聞いてくれる美桜、的確なアドバイスをくれる伊織。すっかり楓はこの2人を信頼しているが、伊織が楓に言い寄ってきたのを機に事態はややこしくなる。スペックは伊織ほうが圧倒的に勝っているのに春をあきらめられない。春からコクってくれればあっさりと結ばれるのに、春にその気配はない。さらに、春が以前勤めていた会社の元女子社員と急接近したため、もはや修復不可能なところまでこじれ始める。なんかもう無理やりに難題を連発させているとしか思えない展開。それでも、24歳設定の男女が高校生並みのメンタリティで恋に四苦八苦する不自然さは、ばかばかしいほど突き抜けていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

楓に九州転勤の話が持ち上がると、春の悩みもエスカレートしていく。なじみの老婆のアドバイスで春はやっと楓にプロポーズする決意を固める。そこでも荒唐無稽さは変わらず春のテンションは最後まで落ちなかった。

監督     高橋洋
出演     井上瑞稀/久間田琳加/萩原利久/浅川梨奈/岡本夏美/横澤夏子/村上健志/アンミカ/松金よね子
ナンバー     90
オススメ度     ★★*


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