こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ブギーマン

大好きだったママは突然の事故で逝ってしまった。心の傷はまだ癒えていないのに、追い打ちをかけるように不気味な死が重なる。物語は、悪霊に憑りつかれた姉妹の闘いを描く。そいつは確かに暗闇に潜んでいる。気配を発散し、不安定な精神状態の彼女たちの周りをうろついている。時折見せる顔は醜く、蜘蛛のような長い手足で壁や天井を走り回る。何者なのか、どこから来たのか。調べてもわからない。ただそれは具体的な形も重量も持ち、人間に害をなそうという純粋な悪意に満ちている。舐めるようなカメラアングルと不穏な音楽からいきなりおどろおどろしい効果音と共にショッキングな場面に転換するB級ホラーの定石を踏みつつも、ライトボールやろうそく、電飾といった光源が幻想的な雰囲気を醸し出していた。

カウンセラーの父の元を訪れた男がブギーマンに子供たちを殺されたと言い残して自殺する。それ以降、妹のソーヤーが不審音を聞くようになり、姉のセイディがその原因を探る。

母の死から立ち直っていないセイディは学校で浮いている。まだ幼いソーヤーは寂しい思いをしていているが、セイディほど深い思い出はない。だがまだお化けが怖い年ごろ、ちょっとした物音に怯えてあらぬ恐怖を想像してしまう。どんなに怖がっていても自分の部屋でひとり寝させる米国の一般家庭、日本人ならもう少し大きくなるまで枕を並べて寝るような状況だが、小さな女の子でも独立した個人として扱う。こういう習慣があるからこそ得体のしれない悪霊が襲ってくるというホラーが成り立つのだろう。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ソーヤーがブギーマンに襲撃され入院すると、セイディは自殺した男の妻と共闘してブギーマンを倒そうとする。だが銃弾などの物理的な攻撃は効かない。そして母の遺品が保管された部屋での最終決戦。ブギーマンは人間の精気を吸い取ってエネルギーにしている以外、生態の情報は開示されず、そのわけのわからなさが21世紀における世界の混沌を象徴していた。

監督     ロブ・サベッジ
出演     ソフィー・サッチャー/クリス・メッシーナ/ビビアン・ライラ・ブレア/マリン・アイルランド/リサゲイ・ハミルトン/デビッド・ダストマルチャン
ナンバー     152
オススメ度     ★★*


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