こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

OUT

すぐ頭に血が上り、考えるより先に手が出てしまう性格ゆえに、少年院送りになった少年。暴力は封印すると誓ったのに、仲間が窮地に陥ると助けないわけにはいかない。物語は、保護観察中の少年が暴走族幹部と友情を結び、彼らの抗争に巻き込まれていく姿を描く。不良とは一切付き合わない約束だった。だが、類は友を呼ぶとの言葉通り、すぐに同類に目を付けられる。なぜか馬が合い、いつの間に暴走族からメンバーのように扱われる。舐められたら終わり、虚勢を張り男気を見せることで自分の価値を高めていく過程は、不良漫画の王道だ。殴る、蹴る、ひねる、投げる、突くといった喧嘩の基本的な攻撃パターンだけでなく、寝技、関節技、絞め技といった総合格闘技で使われるような洗練されたテクニックまで惜しげもなく見せる格闘シーンは見応えがあった。

出所した達也は地元から離れた焼き肉店に引き取られる。さっそく暴走族・斬人の副総長・要とトラブルを起こすがすぐに仲良くなり、斬人の集会に顔を出すようになる。

斬人の幹部連中は腕に覚えのある猛者ぞろい。中でも総長の敦は、驚異的なスピードと切れ味あふれる身のこなしと抜群の破壊力で十数人の相手を瞬殺するなどメンバー全員から畏敬されているが、普段はそんな粗暴さを微塵も見せない。メンバーのほとんどが身長180センチを超える中でひときわ小柄ながら圧倒的な強さを見せる敦が、身体能力の高さと乙女系男子としての振る舞いのギャップで楽しませてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

半グレ集団との抗争は日々激化し、斬人のマドンナ的存在の千紘が拉致されるに至って敦の堪忍袋の緒が切れる。数名の幹部たちと半グレのアジトに殴り込みをかける敦に便乗して加勢する達也は、もう不戦の誓いなど忘れ千紘を救出することしか頭にない。なんか強引な展開ではあるが、それでも達也を “バカだけれどクズじゃない” という焼肉屋のおやじの視点で見ると、こういう少年たちもどことなくかわいく見えてくる。

監督     品川ヒロシ
出演     倉悠貴/醍醐虎汰朗/与田祐希/水上恒司/與那城奨/ じろう/大悟/渡辺満里奈/杉本哲太
ナンバー     207
オススメ度     ★★*


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