こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

エクソシスト 信じる者

妻か、彼女のおなかの胎児か。どちらかを選べと言われた男は、自らの決断にいまだ自責を覚えている。十数年後、彼は再び選択を迫られるが、より良い答えはわからない。物語は、悪魔に憑依された2人の少女とその家族の葛藤を追う。シングルファザーとなった男はひとり娘と良好な関係を築いている。娘の親友は信心深い白人中流家庭の長女。ほんの小さな好奇心から森に入った彼女たちは禁断の体験をする。変化は急激に起き、自らの肉体を傷つけ悪態をつき汚い言葉を口にする。お互いの親が、娘たちがそうなった原因が相手の家庭環境にあるとののしり合うシーンは、冷静さを失った人間のエゴを象徴していた。そして、かつて自分の娘が悪魔憑きにあった老婆の登場。エレン・バースティンが醸し出す圧倒的な存在感は悪魔すら凌駕していた。

アンジェラとキャサリンは放課後森に入ったまま行方不明になる。3日後、彼女たちは森から遠く離れた家畜小屋で発見されるが、その間の記憶は欠落していた。

保護され入院・検査された2人だが、暴行を受けた痕跡はない。だが、肉体的精神的変化は明らか。保守的な土地柄とはいえもう21世紀なのだから、もっと科学的・論理的思考法で彼女たちの症状と向き合うのかと思ったが、親たちは割とあっさり悪魔憑きを認める。最先端テクノロジー、例えば生成AIなどを悪魔と対峙させても面白かったのではないだろうか。ところが親たちは協力者を集め、古来の作法にのっとり悪魔払いの儀式を執り行う。本人しか知らない事実・秘密を突き付けて抵抗する悪魔の、人の心の弱みに付け込む狡猾さが印象的だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一度は参加を断った神父も加わり、悪魔払いの儀式は最高潮を迎える。その際、少女たちの首が360度回転するのかと思ったが今回は控えめ。数多作られた同工異曲の作品と一線を画すほどのオリジナリティはなく、やはり神と悪魔の二項対立は八百万の神々を信じる日本人には理解しがたい。選ばれなかった者が生き残る、謙虚に生きろというその教訓だけは身に染みたが。

監督     デビッド・ゴードン・グリーン
出演     レスリー・オドム・Jr./アン・ダウド/ジェニファー・ネトルズ/ノーバート・レオ・バッツ/リディア・ジュエット/オリビア・オニール/エレン・バースティン
ナンバー     217
オススメ度     ★★*


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